1節 共通事項／18章 塗装工事／令和4年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

1. 18.1.1 一般事項
2. 18.1.2 基本要求品質
3. 18.1.3 材料
4. 18.1.4 施工一般
5. 18.1.5 見本
6. 18.1.6 施工管理
7. 18.1.7 塗装面の確認等

18.1.1 一般事項

この章は、建築物の内外部のコンクリート、木部、金属、ボード、モルタル等の素地に塗装を施す工事に適用する。
また、１章［各章共通事項］と併せて適用する。

18.1.2 基本要求品質

1. (1) 塗装工事に用いる材料は、所定のものであること。
2. (2) 塗装の仕上り面は、所要の状態であること。
3. (3) 塗膜は、耐久性、耐火性等に対する有害な欠陥がないこと。

18.1.3 材料

1. (1) この章で規定する塗料を屋内で使用する場合のホルムアルデヒド放散量は、ＪＩＳ等の材料規格において放散量が規定されている場合、特記による。
   特記がなければ、Ｆ☆☆☆☆とする。
2. (2) 設計図書に特記された防火材料は、建築基準法に基づく防火材料の指定又は認定を受けたものとする。
3. (3) 上塗り用の塗料は、上塗塗料の製造所において、指定された色及びつやに調色する。
   ただし、少量の場合は、同一の上塗塗料の製造所の塗料を用いて現場調色とすることができる。
4. (4) 塗装に使用する塗料の副資材は、上塗塗料の製造所が指定する製品とする。

18.1.4 施工一般

1. (1) 塗料の取扱い
   塗料は、調合された塗料をそのまま使用する。
   ただし、素地面の粗密、吸収性の大小、気温の高低等に応じて、適切な粘度に調整することができる。
2. (2) こし分け
   塗料は、使用直前によくかき混ぜ、必要に応じて、こし分けを行う。
3. (3) 研磨は、次による。
   1. (ｱ) 研磨紙等は、JIS R 6251 (研磨布) 及びJIS R 6252 (研磨紙) による。
   2. (ｲ) 研磨紙ずりは、下層の塗膜及びパテが硬化乾燥した後、各層ごとに研磨紙等で素地の長手方向に、下層の塗膜を研ぎ去らないように注意して研ぐ。
4. (4) 穴埋め、パテかい及びパテしごきは、次による。
   1. (ｱ) 穴埋めは、深い穴、大きな隙間等にパテをへら又はこてで塗り込み埋める。
   2. (ｲ) パテかいは、塗装面の状況に応じて、塗装面のくぼみ、隙間、目違い等の部分に、パテをへら又はこてで薄く塗り付ける。
   3. (ｳ) パテしごきは、パテを全面にへら付けし、表面に過剰のパテを残さないよう、素地が現れるまで十分しごき取る。
5. (5) 塗り方は、(ｱ)から(ｳ)までの工法のうち塗料に適したものとし、色境、隅角部、ちり回り等は、乱さないよう十分注意し、区画線を明確に塗り分ける。
   なお、錆止め塗料塗りは、浸漬塗りとすることができる。
   1. (ｱ) はけ塗りは、はけ目を正しく一様に塗る。
   2. (ｲ) 吹付け塗りは、塗装用のスプレーガンを用いる。
      ガンの種類、口径、空気圧等は、用いる塗料の性状に応じて、適切なものを選び、吹きむらのないよう一様に塗る。
   3. (ｳ) ローラーブラシ塗りは、隅角部、ちり回り等を小ばけ又は専用ローラーを用い、全面が均一になるように塗る。
6. (6) 塗付け量は、平らな面に実際に付着させる塗料の標準量 (一工程当たり) とする。
   ただし、塗料の標準量は、薄める前のものとする。
7. (7) 塗装工程に種別のあるものは、特記された種別に応じて、各表中の○印の工程を行う。
8. (8) 各塗装工程の工程間隔時間及び最終養生時間は、材料の種類、気象条件等に応じて適切に定める。
   なお、標準工程間隔時間を超えて、上に塗り重ねる場合は、適切な処理を行う。
9. (9) 中塗り及び上塗りの各層の色を変えること等により、中塗り及び上塗りが全面に均一に塗られていることを確認する。
10. (10) 組立、取付け等及び工事の取合い上、塗装困難となる部分は、あらかじめ仕上げ塗りまで行う。
11. (11) シーリング面に塗装仕上げを行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ねの適合性を確認し、必要な措置を講ずる。

18.1.5 見本

仕上げの色合は、あらかじめ監督職員に提出した見本帳又は見本塗板による。

18.1.6 施工管理

1. (1) 気温が５℃以下、湿度が 85％以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。
   ただし、採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない。
2. (2) 外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。
3. (3) 塗装面、その周辺、床等に汚損を与えないように注意し、あらかじめ塗装箇所周辺に適切な養生を行う。
4. (4) 塗装を行う場所は、換気に注意して、溶剤による中毒を起こさないようにする。
5. (5) 火気に注意し、爆発、火災等の事故を起こさないようにする。
   また、塗料をふき取った布、塗料の付着した布片等で、自然発火を起こすおそれのあるものは、作業終了後、直ちに必要な措置を講ずる。

18.1.7 塗装面の確認等

塗装の仕上がり面の確認は、目視とし、表18.1.1による。
ただし、錆止め塗料塗りの品質確認は、次により、塗付け量又は標準膜厚の確認を行う。

1. (ｱ) 工事現場塗装の場合は、使用量から単位面積当たりの塗付け量を推定する。
2. (ｲ) 工場塗装の場合は、電磁膜厚計その他適切な測定器具により、膜厚の確認を行う。
3. (ｳ) 試験ロットの構成、１回の測定箇所数、合否の判定、不合格ロットの措置等は、1.2.2［施工計画書］による品質計画で定める。
   表18.1.1 塗装面の確認