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※ このページは、公共建築木造工事標準仕様書 令和4年版 の抜粋です。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/gobuild/moku_hyoushi.html)
11.2.1 一般事項
この節は、合板類及び防火板 (建築基準法第62条及び同法施行令第136条の2の2の規定に適合するボード類) を下地とする床面積が20m2程度のバルコニー床等にFRP系塗膜防水を施す工事に適用する。
11.2.2 材料
- (1) 防水用ポリエステル樹脂は、日本建築学会材料規格 JASS 8 M-101 (防水用ポリエステル樹脂) に適合するものとする。
- (2) 防水用ガラスマットは、日本建築学会材料規格 JASS 8 M-102 (防水用ガラスマット) に適合するものとする。
- (3) プライマー、絶縁用ブチルゴムテープ、パテ材、硬化剤、トナー、歩行用仕上げ塗料、FRP系塗膜防水用ルーフドレン等は、製造所の指定する製品とする。
- (4) FRP系塗膜防水の取合い部に施工するシーリングは、変成シリコーン系とする。
- (5) ルーフドレンは、FRP系塗膜防水用ルーフドレン又は鋳鉄製とし、適用は特記による。
なお、ルーフドレンはFRP系塗膜防水材をドレンパイプ内に50mm以上入れ込める形状とする。 - (6) オーバーフロー管はつば付とし、製造所の指定する製品とする。
11.2.3 防水層の工程
FRP系塗膜防水の工程及び施工部位は、表11.2.1による。
表11.2.1 FRP系塗膜防水の工程
(注) 1. 下地が防火板で浸透が著しい場合は、再度プライマーを塗布する。
2. 各作業段階は、その段階ごとで防水層を硬化させることにより工程を分けることが出来る。
3. 工程1から工程4までの塗り重ね時間は、製造所の指定する塗り重ね時間とする。
4. 歩行用仕上げ塗料は、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とした仕上げ塗料とする。
11.2.4 施工
- (1) 防水材料の周囲への飛散、施工場所以外への汚染を避けるよう適切な養生を行う。
- (2) 下地の構造は、次による。
- (ア) 防水材の性能に影響を与えるたわみ、動き等がないものとする。
- (イ) 根太掛の樹種名、寸法及び防腐・防蟻処理は、特記による。
- (ウ) 根太の樹種名、寸法、防腐・防蟻及び防虫処理は、特記による。
記がなければ、根太の樹種は杉とし、寸法は幅45mm、高さ55mm程度、間隔は300mm程度とし、防腐・防蟻及び防虫処理は、JAS 1083(製材)の保存処理の性能区分K2とする。 - (エ) 下地合板は、上下層を千鳥とした2枚張りとし、次による。
- (a) 構造用合板は、「合板の日本農林規格」第6条「構造用合板の規格」に基づき、接着の程度は特類とし、厚さ、防虫処理、表板の樹種等は、特記による。
記がなければ、厚さ12㎜とする。 - (b) 下地用合板は、「合板の日本農林規格」第4条「普通合板の規格」に基づき、接着の程度は1類、厚さ、防虫処理、表板の樹種等は、特記による。
記がなければ、厚さ12㎜とする。
- (a) 構造用合板は、「合板の日本農林規格」第6条「構造用合板の規格」に基づき、接着の程度は特類とし、厚さ、防虫処理、表板の樹種等は、特記による。
- (オ) 釘は、JIS A 5508 (くぎ) に基づき、材質は表面処理された鉄又はステンレス製とする。
なお、留付け間隔は、特記による。
特記がなければ、間隔150mm程度に留め付ける。 - (カ) 木ねじは、JIS B 1112 (十字穴付き木ねじ) に基づき、合板及び防火板の表面に突起しない皿木ねじとし、材質は表面処理された鋼製又はステンレス製とする。
なお、留付け間隔は、特記による。
特記がなければ、間隔150mm程度に留め付ける。 - (キ) 下地合板の上に防火板を設置する場合の適用は特記による。
また、防火板の種類は特記による。
特記がなければ、ケイ酸カルシウム板厚さ10mmとする。
- (3) 防水層の下地は、次による。
- (ア) 防水施工時に水切り金物、外壁材及び建具枠が取り付けられていないこと。
- (イ) 下地は、目違い、凹凸、突起等のない面とする。
- (ウ) 平場の勾配は、特記による。特記がなければ、1/100以上とする。
- (エ) 十分に乾燥していること。
- (オ) 接着の妨げとなるじんあい、油脂類、汚れ、錆等がないこと。
- (カ) 出隅・入隅は、面木又はパテ材により、通りよく面取り又はR面とする。
また、成形板の目違い及び小孔は、パテ材で処理を施し、防水層に適した形状とする。 - (キ) 下地目地部等には、幅50mm程度の絶縁用ブチルゴムテープを張る。
- (4) ルーフドレン及びオーバーフロー管は、次による。
- (ア) ルーフドレン及びオーバーフロー管の取付け位置は、機能上及び施工上支障のない位置とする。
- (イ) ルーフドレン
- (a) ルーフドレンのつば掛かり部分をノミ又はディスクサンダーでルーフドレンのつばの厚さ以上に掘り込み、床面よりドレンつば部分が高くならないよう設置する。
- (b) 下地材にねじ、スクリュー釘等で堅固に固定する。
- (c) ルーフドレンのつば及びパイプ内部はペーパー掛け等により目荒しを行う。
- (d) プライマーを塗布する。
- (e) FRP系塗膜防水材をルーフドレンパイプ内部に50mm以上入れ込み、よくなじませる。
- (ウ) オーバーフロー管
- (a) 側壁の穿孔後、穿孔面にシーリング材を捨て打ちし、オーバーフロー管を挿入する。
- (b) つば部分を下地材にスクリュー釘等で堅固に固定する。
- (c) オーバーフロー管のつば及び手の届く管内部は、ペーパー掛け等により目荒しを行う。
- (d) プライマーを塗布する。
- (e) FRP系塗膜防水材をつば部分全面になじませ、排水に支障の無い範囲でオーバーフロー管内部に入れ込む。
- (5) プライマー塗り
プライマーは、はけ又はローラーばけ等を使用し、均一に塗布する。 - (6) 防水材の塗布及び防水用ガラスマットの張付けは、次による。
- (ア) 防水材、硬化剤の調合及びかくはん混合は、製造所の仕様による。
- (イ) 積層工程は、防水用ポリエステル樹脂塗布後、直ちに防水用ガラスマットを敷込む一連の作業とする。
- (ウ) 防水用ガラスマットは、下地に良くなじませ、防水用ポリエステル樹脂を塗布含浸し、脱泡する。
- (エ) 防水用ガラスマットの重ね幅は、50mm以上とする。
- (オ) 防水用ポリエステル樹脂に防水材製造業者の指定するトナーを所定の割合で調合し、練り混ぜ着色する。
- (7) 歩行用仕上げ塗料の施工は、次による。
- (ア) FRP系塗膜防水層の仕上り状態に、防水材の未硬化、ふくれ、ピンホール、突起物、損傷・破断、色むら・塗りむら、未施工部分等がないことを確認し、表面に不具合があれば補修塗り後、防水層を研磨して清掃する。
- (イ) 防水層の立上り端部、ルーフドレン・パイプ等突起物の端部に、剥がれ・口あき等がないことを確認し、不具合があれば補修する。
- (ウ) 歩行用仕上げ塗料の塗布
歩行用仕上げ塗料は、製造所の仕様により配合し、十分に混合する。
また、不純物を巻き込まないように、規定の使用量をはけ又はローラーばけなどで均一に塗布する。 - (エ) 塗装完了後は、仕上げ塗料が硬化するまで適宜養生する。
また、仕上げ塗料の硬化後、塗装面をシート等で養生する場合は、製造所の仕様による乾燥期間の経過後に行う。
- (8) 防水端部の処理は、次による。
- (ア) 壁面開口部の立上り端部、建具枠等の留付けねじの頭等の処理は、「公共建築工事標準仕様書 (建築工事編) 」16.2.5[工法](2)(ウ)による。
- (イ) バルコニー内側の外壁部分、手すり壁部分等の防水層は、開口部下端で120㎜以上、それ以外の部分では250㎜以上立ち上げる。
- (ウ) 壁面開口部以外の防水層立上り端末部は、外壁材が100㎜以上防水材に被るようにする。
- (エ) 水切り金物、外壁材及び透湿防水シートと防水層との取合いは変成シリコーン系シーリング材を施す。
なお、詳細は特記による。
- (9) 水張り試験を行う場合は、特記による。
11.2.5 施工管理
- (1) 施工条件
- (ア) 降雨及び降雪が予想される場合、下地の乾燥が不十分な場合、気温が著しく低下した場合、強風及び高湿の場合又はその他防水に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。
やむを得ず施工を行う場合は、養生、乾燥等必要な措置を施す。 - (イ) 気温が5℃以下の低温又は気温が35℃以上の高温の場合は、施工に支障を生じることが予想されるため、製造所の仕様による。
- (ア) 降雨及び降雪が予想される場合、下地の乾燥が不十分な場合、気温が著しく低下した場合、強風及び高湿の場合又はその他防水に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。
- (2) 使用材料の安全管理
- (ア) 硬化剤の取扱いは、製造所の仕様による。
また、他の材料と隔離して保管し、施工現場に放置しない。 - (イ) 施工後の安全確認
FRP系塗膜防水施工後の残材料は、次の火災防止の措置を行う。- (a) 硬化剤を混合したFRP系塗膜防水用樹脂等の入った容器に水を張る。
- (b) 硬化剤の空容器に水を張る。
また、硬化剤の付着物は水に十分浸し除去後処分する。 - (c) 使用したウエスや手袋類を廃棄する場合は、水に十分浸し処分する。
- (ア) 硬化剤の取扱いは、製造所の仕様による。
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