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10節 しっくい塗り/15章 左官工事/令和4年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

  1. 15.10.1 一般事項
  2. 15.10.2 材料
  3. 15.10.3 調合及び塗厚
  4. 15.10.4 工法
  5. 15.10.5 養生

15.10.1 一般事項

この節は、消石灰、砂、のり、すさ等を主材料としたしっくいを内外壁に塗り付けるしっくい塗りに適用する。
なお、下地は、せっこうボード、せっこうラスボード、モルタル塗り、木ずり又はこまい土壁塗りを下地として塗り付ける場合若しくは下塗りをせっこうプラスターとし上塗りに塗り付ける場合に適用する。
その他の下地を適用する場合は、特記による。

15.10.2 材料

  1. (1) しっくいは次により、適用は特記による。
    1. (ア) 既調合しっくい材料は、消石灰に、あらかじめ繊維、のり、骨材等を工場で配合した既調合しっくいとし、次による。
      1. (a) 上塗りは、JIS A 6919(内装上塗用既調合しっくい)による。
      2. (b) 色しっくいの適用は、特記による。
      3. (c) (a)及び(b)以外は、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。
    2. (イ) 現場調合材料は、次による。
      1. (a) 消石灰は、JIS A 6902 (左官用消石灰) 又はJIS R 9001(工業用石灰)による。
      2. (b) 貝灰は、試験又は信頼できる資料で品質の確認ができるものとする。
      3. (c) すさは、15.9.2(2)による。
      4. (d) のりは、つのまた又はぎんなんそうとし、春又は秋に採取し、1年程度乾燥したもので、根、茎等を混入しないで煮た後に粘性のある液状となり、不溶解分が質量で 25%以下のものとする。
        なお、粉つのまた及び水溶性樹脂 (メチルセルロース等)を使用する場合は、監督職員の承諾を受ける。
  2. (2) 下げおは、15.9.2(3)による。
  3. (3) しゅろ毛及びパームは、15.9.2(4)による。
  4. (4) 砂は、15.3.2 (1)(ア)(c)による。
  5. (5) 水は、15.3.2(2)による。
  6. (6) 顔料は、15.3.2(3)(オ)による。
  7. (7) 混和剤は、JIS A 6203(セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂)に基づくセメント混和用ポリマーディスパージョンとする。
  8. (8) 吸水調整材は、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。
  9. (9) ジョイントコンパウンドは、JIS A 6914 (せっこうボード用目地処理材)による。

15.10.3 調合及び塗厚

  1. (1) 既調合しっくいの調合、塗厚等は、特記による。
    特記がなければ、次による。
    1. (ア) せっこうボード下地の場合は、表15.10.1 による。
      表15.10.1 せっこうボード下地
      表15.10.1 せっこうボード下地
      (注) 下塗りにせっこうプラスターを用いる場合は、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。

    2. (イ) モルタル塗り下地の場合は、表15.10.2による。
      表15.10.2 モルタル塗り下地
      表15.10.2 モルタル塗り下地
    3. (ウ) せっこうラスボード下地の場合の上塗りは、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。
  2. (2) 現場調合しっくいの調合及び各層の塗厚は、特記による。
    特記がなければ、木ずり下地の場合は表15.10.3により、せっこうプラスター下地及びこまい土壁下地の場合は表15.10.4による。
    表15.10.3 木ずり下地
    表15.10.3 木ずり下地
    (注) 1. 外壁上付け用の消石灰は、水で硬練りに練って24時間以上おいたものに、使用時適度に加水してよく練って使用する。
    2. 貝灰を使用する場合は、施工に先立ち、見本塗板を監督職員に提出のうえ、調合を決定する。
    3. 上塗りに着色する場合の顔料混合量は、消石灰の5% (容積比) 以下とする。

    表15.10.4 せっこうプラスター下地及びこまい土壁下地
    表15.10.4 せっこうプラスター下地及びこまい土壁下地
    (注) 1. せっこうプラスター下地は、内壁のみに適用する。
    2. 外壁上付け用の消石灰は、水で硬練りに練って24時間以上おいたものに、使用時適度に加水してよく練って使用する。
    3. 貝灰を使用する場合は、施工に先立ち、見本塗板を監督職員に提出のうえ、調合を決定する。
    4. 上塗りに着色する場合の顔料混合量は、消石灰の5% (容積比) 以下とする。

15.10.4 工法

  1. (1) 既調合及び現場調合のしっくいの材料は、施工の前日までに水等で練り混ぜをすませ、乾燥しないようにビニル等で覆い、施工直前に再度練り混ぜて使用する。
    また、気温の低い場合は、凍結しないようにする。
  2. (2) 既調合しっくいの場合は、次による。
    1. (ア) せっこうボード下地の場合は、次による。
      1. (a) せっこうボードのエッジの種類はベベルエッジとし、継目処理はジョイントコンパウンドを塗り付けた後にジョイントテープ張りを行う。
        なお、ジョイントテープは、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。
      2. (b) せっこうボード面の釘頭、傷等の不陸調整は、上塗りに用いる既調合しっくいの製造所の仕様による。
      3. (c) せっこうボード面には、吸水調整材を全面に塗布し、下塗り専用下塗り材で均一に仕上げる。
    2. (イ) モルタル下地の場合は、吸水調整材を全面に塗布し、中塗り用の既調合しっくいを数回に分けて塗り重ね、中塗り面が半乾きの状態で上塗りを行う。
    3. (ウ) せっこうラスボード下地の場合は、15.8.5 により、下塗り、中塗りを行ったうえで、上塗りに既調合しっくいを用いる。
    4. (エ) 上塗りの仕上げ工法は表15.10.5により、種別は特記による。
      表15.10.5 既調合しっくいの上塗り仕上げ工法
      表15.10.5 既調合しっくいの上塗り仕上げ工法
  3. (3) 現場調合しっくいの場合は、次による。
    1. (ア) 材料調整及び練混ぜは、次による。
      1. (a) つのまた及びぎんなんそうは、乾燥時に所要量を計り、使用直前に1舟分を1かまで煮たうえで、下塗り及び中塗り用は 2.5mm目ふるいを1回、上塗り用は 1.2mm目ふるいを2回通し、しっくい用のりとする。
        なお、煮ている間は、過度にかき回さない。
      2. (b) すさは乾燥時に計量してほぐし、均質になるようにしっくい用のりが熱いうちに練り混ぜる。
      3. (c) 乾燥した石灰と砂をから練りした後、均質になるようにしっくいのりが熱いうちに練り混ぜる。この場合、後から水を加えない。
    2. (イ) 木ずり下地の場合は、次による。
      1. (a) 下げお打ちは、次による。
        1. ① 下げお打ちは、壁では間隔 300mm以下、天井及びひさしは250㎜以下とし、千鳥に配列する。
          壁は下塗り直後、天井及びひさしは下塗り前に打ち込み、下塗り面、むら直し面及び中塗り面に、各々半量ずつ扇形に開き押さえ込む。
        2. ② 出入口、窓回り等のちり回りは、ちり回り用の下げおを用い、その間隔は 150mm以下とし、1列に配列する。
      2. (b) 下塗りは、こてを縦横に運んで木ずり間に十分にすり込み塗り立て、表面に荒らし目をつける。
      3. (c) むら直し、鹿子ずり及び中塗りは、次による。
        1. ① むら直し及び中塗りは、下塗り後10日以上おき、下塗り面の乾燥後、平らに塗り付ける。
          出隅、入隅及び開口部回りは、定規塗りも行う。
          また、開口部隅角、その他ひび割れの生じやすい箇所には、しゅろ毛、パーム等を伏せ込む。
        2. ② 下塗りにひび割れが生じた場合は、むら直し後再び 10 日以上おき、鹿子ずりして中塗りを行う。
      4. (d) 上塗りは、中塗りが半乾燥状態のとき、水引き具合を見計らい上塗りを行う。
        上塗りは必ず下付けを行ってから上付けとし、こてむらなく入念に仕上げる。
    3. (ウ) せっこうプラスター下地の場合は、表15.8.1の中塗りが半乾燥状態のうちに、水引き具合を見計らい、上塗りを行う。
    4. (エ) こまい壁下地の場合は、表15.11.9の中塗りが十分に乾燥した後、下付け・上付けの2回に分けて上塗りを行う。

15.10.5 養生

  1. (1) 塗り作業中は、可能な限り通風をなくす。
    施工後に水引き具合を見て徐々に通風をして、その後は自然に乾燥させる。
  2. (2) 塗付け場所の気温が1日を通じて5℃を下回る日は、施工を行わない。
    ただし、やむを得ず施工を行う場合は、適切な採暖を行う。
  3. (3) 施工中及び施工後は、壁面に雨があたらないように養生等を行う。
    また、油煙との接触を避ける。
  4. (4) 日射及び風が強い日の屋外での施工は、シート養生等を行い、下地には適度な散水養生を行う。

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