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全体目次/令和4年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

2節 セメントモルタルによるタイル張り/11章 タイル工事/令和4年版 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

11.2.1 一般事項

この節は、工事現場において、セメントモルタルによる後張りでタイル張り仕上げを行う工事に適用する。
ただし、300 角を超えるタイルを用いた床タイル張りは除く。

11.2.2 材料

  1. (1) タイルの品質は、次による。
    1. (ア) JIS A 5209 (セラミックタイル) に基づき、タイルの形状、寸法、耐凍害性の有無、耐滑り性等は、特記による。
    2. (イ) 標準色・特注色の別は、特記による。
  2. (2) 役物は、次による。
    1. (ア) 役物の適用は、特記による。
      なお、内装タイルは、面取りしたものを使用する。
    2. (イ) まぐさ・窓台部分に使用する役物タイルの形状は、水切りのよいものとする。
    3. (ウ) 小口平以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に用いる場合は、形をL形とし、躯体に緊結できるように引き金物用の穴をあけたものとするか、又は、穴あけに代えて引金物をエポキシ樹脂により接着する。

11.2.3 張付け用材料等

  1. (1) 張付けモルタル等の材料は、次による。
    1. (ア) セメントは、JIS R 5210(ポルトランドセメント)とする。
    2. (イ) 水は、15.3.2[材料](2)による。
    3. (ウ) 細骨材は、15.3.2 (1)(ア)(c)①による。
      ただし、細骨材の大きさは、表11.2.1とする。
      表11.2.1 細骨材の大きさ
      表11.2.1 細骨材の大きさ
  2. (2) 張付けモルタルの混和剤
    1. (ア) 保水剤は、メチルセルロース等の水溶性樹脂とし、実績等の資料を監督職員に提出する。
    2. (イ) セメント混和用ポリマーディスパージョンは、JIS A 6203 (セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂) による。
  3. (3) 既調合モルタルは、特記による。
    なお、使用にあたっては、既調合モルタルの製造所の仕様による。
  4. (4) 吸水調整材は、表15.3.2[吸水調整材の品質]による。
  5. (5) 既調合目地材の場合は、実績等の資料を監督職員に提出する。
    なお、使用にあたっては、既調合目地材の製造所の仕様による。

11.2.4 その他の材料

  1. (1) セメントモルタルによるタイル張りの引金物は、なましステンレス鋼線 (SUS304) の径0.6mm以上とし、働き長さ 200mm程度のものとする。
  2. (2) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材は、9章7節[シーリング]による。

11.2.5 張付けモルタル等の調合

モルタルの調合は、表11.2.2による。
なお、モルタルの練混ぜは、原則として、機械練りとする。
また、1回の練混ぜ量は、60分以内に張り終える量とする。

表11.2.2 モルタルの調合 (容積比)
表11.2.2 モルタルの調合 (容積比)
(注) 1. セメント混和用ポリマーディスパージョンの使用量は、セメント質量の5%(全固形分換算)程度とする。
2. 張付けモルタルには、必要に応じて、保水剤を使用する。
ただし、保水剤は、所定の使用量を超えないよう注意する。

11.2.6 施工

  1. (1) 下地及びタイルごしらえは、次による。
    1. (ア) 下地モルタル塗りを行うコンクリート素地面の下地処理の方法は、特記による。
    2. (イ) 目荒し工法又はMCR工法による下地処理を行う場合は、次による。
      1. (a) 目荒し工法とする場合は、15.3.4[下地処理](4)による。
      2. (b) MCR工法とする場合は、6章8節[型枠]による。
    3. (ウ) 下地モルタル塗りは、15.3.5[工法](4)(イ)(a)による。
    4. (エ) 壁タイル下地面の精度は、15.3.5(4)(イ)(a)④による。
    5. (オ) 屋外のタイル張りを行うにあたり、下地モルタルの乾燥が著しい場合は、前日散水し、十分吸水させる。
      ただし、降雨等で十分に吸水されている場合は、この限りでない。
    6. (カ) タイル張りに先立ち、下地面を清掃した後に、下地モルタルに適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
    7. (キ) 吸水性のあるタイルは、必要に応じて、適度の水湿しを行う。
    8. (ク) タイルごしらえは、必要に応じて、行う。
  2. (2) 床タイル張りは、次による。
    1. (ア) 15.3.5(4)(ア)により下地モルタルを施工し、張付けモルタルを用いて張り付ける。
    2. (イ) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付け、合計の塗厚は、ユニットタイルは3~5㎜、その他のタイルは5~7㎜とする。
      なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内とする。
    3. (ウ) 張付け面積の小さい場合は、(ア)及び(イ)に代えて、容積比でセメント1:細骨材3~4に少量の水を加えた敷モルタルを用いてたたき締め、その硬化具合を見計らい、張付けモルタルを用いてタイルを張り付けてもよい。
    4. (エ) 張付けは目地割りに基づいて水糸を引き通し、隅、角その他要所を押さえ、通りよく平らに張り付け、表面及び目地底は随時清掃する。
    5. (オ) 張付け面積の大きい場合は、基準となるタイル張りを行い、これを定規にして張り付ける。
    6. (カ) 目地詰めに先立ち、タイル面や目地部分を清掃する。
      目地詰めは、張付け後モルタルの硬化を見計らって可能な限り早い時期に行う。
    7. (キ) 目地は、次による。
      1. (a) 目地の深さは、歩行に支障のない程度の沈み目地とする。
      2. (b) 目地幅の大きい場合は、目地モルタルを確実に充填したうえ、目地押えを行う。
      3. (c) 目地幅の小さい場合は、塗り目地とする。
    8. (ク) 目地詰め後、タイル面を清掃する。
    9. (ケ) 防水層の保護コンクリート等の上にタイルを張る場合は、9.2.5[保護層等の施工](6)による伸縮目地に合わせて、タイルの伸縮調整目地を設ける。
      なお、目地材は、9章7節[シーリング]による。
  3. (3) 壁タイル張りは、次による。
    1. (ア) タイル張りの工法と張付けモルタルの塗厚は表11.2.3により、タイルの種類・大きさに応じた工法は特記による。
      表11.2.3 セメントモルタルによるタイル張り工法と張付けモルタルの塗厚
      表11.2.3 セメントモルタルによるタイル張り工法と張付けモルタルの塗厚
    2. (イ) 密着張りは、次による。
      1. (a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
        なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内とする。
      2. (b) 張付け順序は、目地割りに基づいて水糸を引き通し、窓、出入口回り、隅、角等の役物を先に行う。
      3. (c) 張付けは、張付けモルタルの塗付け後、タイルをモルタルに押し当て、タイル張り用振動機 (ヴィブラート) を用い、タイル表面に振動を与え、張付けモルタルがタイル裏面全面に回り、さらに、タイル周辺からモルタルがはみ出すまで振動機を移動させながら、目違いのないよう通りよく張り付ける。
      4. (d) 目地は、次による。
        1. ① タイル張付け後、24時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。
        2. ② 目地の深さは、タイル厚さの 1/2以下とする。
        3. ③ 目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて、目地部分の水湿しを行う。
        4. ④ 目地モルタルを確実に充填したうえ、モルタルの硬化を見計らい、目地押えを行う。
      5. (e) 目地成形後、タイル面の清掃を行う。
    3. (ウ) 改良圧着張りは、次による。
      1. (a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
        なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内とする。
        また、練り混ぜる量は、1回の塗付け量及び張付け量とする。
      2. (b) 張付け順序は、(イ)(b)による。
      3. (c) 張付けは、タイル裏面全面に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに仕上げる。
      4. (d) 1回のモルタル塗面にタイルを張り終わったとき、モルタルの硬化の程度により、張付けが終わったタイル周辺にはみ出しているモルタルは除去する。
      5. (e) 目地は、(イ)(d)による。
      6. (f) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
    4. (エ) マスク張りは、次による。
      1. (a) 張付け順序は(イ)(b)とし、役物及び切物タイルの張付けは張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗り付けて張り付けた後、直ちに適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまで入念にたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
      2. (b) 張付けは、張付けモルタルをタイルに見合ったユニットタイル用マスクを用い、ユニット裏面全面にこてで圧着して塗り付けたのち、直ちに縦横及び目地幅の通りをそろえて張り付け、適切な方法で目地部分に張付けモルタルがタイル周辺からはみ出すまでたたき締める。
      3. (c) 張付け後、時期を見計らって水湿しをして、表張りの紙をはがす。
      4. (d) 目地は、塗り目地とするほかは、(イ)(d)の①から③までによる。
      5. (e) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
    5. (オ) モザイクタイル張りは、次による。
      1. (a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
        なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、3m2/人以内とする。
      2. (b) 張付け順序は、(イ)(b)による。
      3. (c) 張付けモルタルを塗り付けた後、ユニットタイルを張り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえ、適切な方法で目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまでたたき締める。
        なお、タイル張継ぎ部分の張付けモルタルは除去する。
      4. (d) 表張り紙の紙はがしは、(エ)(c)による。
      5. (e) 目地は、(エ)(d)による。
      6. (f) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。
  4. (4) まぐさ、窓台等のタイル張りは、次による。
    1. (ア) 下地は、設計図書に基づき、形状、水勾配等を正しく施工する。
      小口平以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に張り付ける場合は、11.2.4(1)の引金物を張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて24 時間以上支持する。
    2. (イ) 窓台部分のタイルは、窓枠、水切り板等の裏面に差し込み、裏面に隙間のないようにモルタルを充填する。
    3. (ウ) (ア)及び(イ)以外は、一般部分に準ずる。
  5. (5) 伸縮調整目地にはみ出した張付けモルタルは、全て削り落とす。
    また、隙間ができた場合は、張付けモルタルを補充し、目地の形状を整える。

11.2.7 養生等及び清掃

  1. (1) 養生等は、次による。
    1. (ア) 施工中及びモルタルが十分硬化しないうちは、タイル張り面に振動、衝撃等を与えない。
    2. (イ) 床タイル張り後、3日間は、タイル上を歩行しない。
      やむを得ず、歩行する場合は、道板等で養生を行う。
  2. (2) 清掃は、次による。
    1. (ア) 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。
    2. (イ) 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
      また、酸洗い前後は水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
      なお、金物等には、酸類が掛からないように養生を行う。

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